外務省 対日理解促進交流プログラム JENESYS2019 東ティモール「おもてなし研修」
プロジェクト内容
外務省の大規模な青少年交流を通じてアジアの強固な連帯にしっかりとした土台を与える観点から進められるJENESYS2019「21世紀東アジア青少年大交流計画」の一環として、10月29日から11月6日まで、東ティモールの観光業従事者17名が訪日。
一行は、東京都と岐阜県を訪問し「観光産業交流〜観光立国への取り組み」をテーマに関する講義の聴講において、10月30日に、つなぐひろげるおもてなし協会「おもてなし研修」を受講。
会場は、ひと時を共に過ごした東ティモール人と日本人のあたたかな笑顔が溢れた。
一行は、東京都と岐阜県を訪問し「観光産業交流〜観光立国への取り組み」をテーマに関する講義の聴講において、10月30日に、つなぐひろげるおもてなし協会「おもてなし研修」を受講。
会場は、ひと時を共に過ごした東ティモール人と日本人のあたたかな笑顔が溢れた。
着物姿の日本文化講師がお出迎え、紅葉、水引でしつらえられた日本の秋を感じる空間で、おもてなしの専門的な知識とスキルを持つおもてなしコンシェルジュがおもてなし。
おもてなし・日本文化・茶道について、プロジェクターによる講義や受講者への問いかけ、質問を通し、理解を促進。
会議室の一角に点前スペースを設置、裏千家助教授が「抹茶を飲みたい」と希望のすべての東ティモールの方へ1杯ずつ点て、受講者は、初めて食べる落雁やおかきと抹茶の苦さ、お点前のいただき方を体験。
日本独自の挨拶やお辞儀、物の受け渡しを何回も日本語を口々に言い、メモを取り、実践。
テーブル上の水引のオブジェに手を触れ、日本の伝統工芸の水引を紹介。(東ティモールでも、日本の水引のようなものがあるとのこと)
観光産業に携わる受講者へ日本が世界に誇るきめ細かく行き届いたおもてなしを紹介。
研修終了時、受講者の皆様に、おもてなしを学ばれた証明カードとお土産に水引のしおりを贈呈。
受講者から、感謝の気持ちに東ティモールの友好の証、伝統的なタイス織の布が首にかけられた。
一期一会の掛け声とともに写真を撮影。
詳細
実施日:2019’10.30
実施場所:東京 研修ルーム
クライアント:株式会社JTB
おもてなし講師:直井みずほ
茶道講師:赤羽宗美
おもてなしコンシェルジュ:大川ユカ子/松丸明子
通訳:浅井ゆかり
撮影:佐藤セイイチ
アシスタント:関根陽介/西原由紀
実施場所:東京 研修ルーム
クライアント:株式会社JTB
おもてなし講師:直井みずほ
茶道講師:赤羽宗美
おもてなしコンシェルジュ:大川ユカ子/松丸明子
通訳:浅井ゆかり
撮影:佐藤セイイチ
アシスタント:関根陽介/西原由紀
研修レポート
はじめに
木々の葉が赤く色づき始めた10月下旬、東ティモール民主共和国で観光業に従事する皆さまが「外務省対日理解促進交流プログラム」を通して訪日されました。〈外務省JENESYSプログラムとは〉
多くの若者を招へい・派遣し、政治、経済、社会、文化、歴史、外交政策などに関する対日理解の促進を図るとともに、親日派・知日派を発掘し、日本の外交姿勢や魅力等について積極的に発信してもらうことで、外交的な相互理解と友好関係の促進を目的とした交流プログラムです。
そしてつなぐひろげるおもてなし協会では前回のモンゴル訪日団に続き、株式会社JTBさまのご依頼のもとJENESYS2019 ASEAN 招へい第8段の一環として「おもてなし研修」を実施いたしました。
本記事では、東ティモールの皆さまへ行われた「おもてなし研修」の様子をご紹介します。
初めてづくしの「おもてなし」
インドネシアの最東端に位置する東ティモールの皆さまにとって、初めて訪れた日本は全てが目新しく映ったようです。皆さま、着物は「映画でしか見たことがない」ようで、最初にお出迎えした着物のおもてなし講師はさっそく注目の的となりました。
さて、おもてなし研修がいよいよスタートです。
「おもてなし」という言葉も初めて耳にする皆さまに、「おもてなし」とは一体何なのかをそのルーツをご紹介。
〈「おもてなし」は日本ならではの文化〉
おもてなしは日本の歴史に紐づいた日本ならではの文化です。そのルーツは聖徳太子の十七条憲法「以和為貴」に由来するとも言われています。以降、おもてなしの心は茶道を代表とする日本伝統文化の精神性を表現し、今なお現代の日本人に大切に受け継がれています。
そして、2013年IOCオリンピック招致プレゼンテーションでは滝川クリステルさんが「おもてなし」という言葉が次のように紹介され、その名が世界中に知れ渡りました。
『東京は皆さまをユニークにお迎えいたします。
日本語ではそれを「おもてなし」という言葉で表現いたします。
それは、見返りを求めないホスピタリティの精神。それは先祖代々受け継がれながら、現代の日本の文化にも深く根付いています。
「おもてなし」という言葉は、いかに日本人が互いに助けあい、お迎えするお客様のことを大切にするかを示しています。』
(引用:公益財団法人東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会)
「おもてなし」の方法を知る
観光業に携わっていることもあり、日本式のお客様の歓迎の仕方に興味を持たれました。相手と頰を寄せた挨拶があたりまえである東ティモールの方には、日本式の挨拶の仕方は、珍しく感じられたようでした。日本人は、相手との距離間を世界的に見ると、やや広くとることを好み、お客様に近づく際(程よい距離感より、近い距離になる)には、「失礼します」と声をかけることを伝えると、驚きを隠せない様子でした。
「おもてなしの心」を体験する
「おもてなしの心」の体験として、茶道に触れていただきました。茶道の日本文化講師が一つ一つ心を込めて点てたお点前を受講者さま全員が召し上がります。
いただく際の作法や相手を気遣う言葉・振る舞いを通して日本人ならではの気配り心配りを体感いただきました。初めてのお菓子や抹茶に驚きを隠せない様子でしたが、皆さま楽しく召し上がってくださったのが印象的です。
「おもてなし」の体得
そして現代の日本の観光業界で行われている「おもてなしのふるまい」として、お辞儀や物の受け渡し方などを実践いただき、日本独自の礼儀や相手の立場に立った行動を具体的に学んでいただきました。自国で日頃行っているサービスとの違いを確認し、日本のサービス・ホスピタリティ産業が重視するお客様満足について理解を深めるきっかけとしていただきました。
東ティモール、受講者の声〜アンケートより〜
文化、ホスピタリティーが興味深かった。日本の人々とおもてなし、ゲストへのふるまいについてもっと知りたい。茶道体験はとてもユニークな体験だった。日本の文化、茶道についてもっと知りたくなった。
ゲストをもてなすための心とふるまいがとても興味深かった。おもてなしについてもっと知りたい。
観光業の学生の自分にとってはとても役に立つと思う。
日本はとてもユニークな国。今回の経験や得たスキルを自国に応用したい。そして将来的には東ティモールが日本のように発展してほしいと思う。
我々の同僚はおもてなしとはなんなのかほとんど知らないので、彼らに教える事ができる。
日本の文化や生活には敬いの気持ちがとても大事でだから世界中が注目するのだと思った。我々の国でも今日学んだ事をできるだけ発揮したい。
ホテルなどでの東ティモールのゲストの迎え方は日本と異なるが、今日学んだことを基準にしてレベルをあげていきたい。
お互いに敬う気持ちを持つ事を学べたから、とても良かった。
私たちのような国にとって学ばなくてはいけないことがとても多いので、講義の時間が足りないと思った。
日本は本当に発展していて、サービスの質も良く、お互いを尊敬し合っている国で、この場にいられてとても光栄に思う。
子供の頃に映画で見てから日本に来るのが夢だった。実際自分の目で見た日本は想像以上に綺麗で、人々はお互いに親切で敬いあっていてとてもすばらしい。
我々のような国が多くを学べるように日本政府がこのような取り組みを続けてくれる事を希望する。
東ティモールの文化に根付く形でおもてなしを取り入れることを学んでいかないといけないと思った。
国民の平均年齢が18.8歳で約7割が30歳以下という若い力あふれる国(在東ティモール日本国大使館、東ティモール経済・社会情勢サマリーより)、東ティモールの皆さまに日本のおもてなしの心をお伝えする事で、日本の文化を理解し交流を深める素晴らしい場となりました。
まとめ
今回のおもてなし研修は、英語通訳とともに東ティモールの母国語であるティトン語に二重通訳する場面もありましたが、言葉の壁を超えて日本の「おもてなし」を体と心で感じ取っていただく貴重な時間となりました。研修終了後には受講者の皆さまに、おもてなしを学ばれた修了証とお土産に水引のしおりを贈呈させていただきました。東ティモールの皆さまからは感謝と友好の証として伝統的なタイス織の布をいただき、2国間交流をさらに深める一場面となりました。
紅葉で赤く染まった木々は東ティモールでは見られない景色とのこと。滞在中に日本の自然美も堪能いただけると嬉しいです。
つなぐひろげるおもてなし協会では、「おもてなし」が日本と世界各国・地域間をつなぐ架け橋となるよう、これからも世界へ向けて発信してまいります。