おもてなしとは?マナー・サービス・ホスピタリティとの違いを歴史からひも解く
「おもてなし」という言葉を耳にする機会が増えました。また、世界中から「日本のおもてなし」を期待し、日本を訪れる方が増えています。
なぜこれほどまでに日本ならではの「おもてなし」が取り上げられるのでしょうか。
サービスとの違いは?その魅力は?
おもてなしという言葉をより深く考察してみます。
「おもてなし」とは
そもそも「おもてなし」とは何でしょう?
おもてなしは、言葉の通り、「客をもてなす」の「もてなす」からきています。
では、「もてなす」とは?
「もてなす」の語源は、「モノを持って成し遂げる」からきており、お客様へ応対する扱い、待遇のことを指します。
ここでいう「モノ」とは、目に見える物だけでなく、目に見えない気配りや心配りも含まれています。
「おもてなし」は日本の歴史・文化に深く根づいている
「和を以て貴しとなす」という言葉があります。
自分を主張するのではなく、和を尊ぶ、というのは日本人らしい感性だと感じます。
立ち振る舞いのレッスンをしておりますが、洋服の時と着物の時では、全く所作が違います。
例えば洋服の場合、デコルテをしっかりと開き、まっすぐ前を見て、堂々と歩きます。自信に満ち溢れ、私を見て!というくらいの気持ちで、堂々と歩くことが美しいのです。
ですが、着物となると背筋をすっと伸ばしつつ、視線を少し落とし、内股、小幅で歩く方が、より美しい立ち居振る舞いとなります。
日本には凛としつつも、控えめであることを美徳とする文化があります。所作に限らず、あらゆるところに、こういった精神性を感じることができます。
また「おもてなし」は茶道の精神からはじまっているともいわれます。
私は小学生から茶道をはじめ、最初は苦い抹茶に正座と、正直楽しめるどころではありませんでしたが、次第にそこにある深い心遣いに魅了されていきました。
茶道では、茶器や道具、床の間の飾りなど、一つ一つを丁寧に拝見します。それは、亭主がお客様のことを思って選び、丁寧に心を込めて準備されたものだからです。
「季節の花や掛け軸を飾り、香を焚き、迎え入れるお客様にいかに楽しんでいただくか、心地よくお過ごしいただくかを考える。決して華美ではなく、考え抜かれたしつらい。
お客様が来られる前に、玄関に打ち水をしてお出迎いする心配り。一期一会の精神の中、目の前にいるお客様のために、心を尽くす。」
茶道は世界に誇れる日本の文化であり、その精神は究極のおもてなしともいえます。
「マナー」「サービス」「ホスピタリティ」「おもてなし」の違い
社会の中で人と人が気持ち良く生活していくための配慮であり、国や民族、文化、宗教などさまざまな習慣によって形式が異なります。
そしてサービスには対価が発生します。つまり「サービス」とは利益を求め、お客様が支払う料金に見合うこと、求められたことを期待通りにすることです。
そして相手が喜ぶことが自分の喜びにもなるという、対価を求めない自発的な行為です。
お客様のことを考えて何かを提供し、お客様の感動、満足度を引き出すというところで、ホスピタリティとおもてなしは似ていますが、日本人ならではの精神性、感性を活かしたもの、日本人の心こそが「おもてなし」だと考えます。
まとめ
ホスピタリティの精神と似ていますが、より日本独自の視点が活かされたものが「おもてなし」と言えるのではないでしょうか?
お客様に気づかれないくらいのさりげない目配り、気配り、心配り。どのようにしたら、お客様に喜んでいただけるかを常に考え、動くことなど、「おもてなし」とは最上級の日本らしさ溢れる心遣いです。
押し付けではなく、決して主張はしないけれど、お客様の立場にたち、お客様に徹底的に寄り添い、お客様が喜ぶことを粛々とさりげなくする。
それこそが日本人の心遣いであり、おもてなしの真意かと思うのです。だからこそ、そこに感動が生まれ、おもてなしを受けた方の心を魅了するのではないでしょうか。
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