国際的VIPへのおもてなしに欠かせない「プロトコール」とは
国際社会においては、さまざまな人種、歴史、習慣、文化、宗教、慣習が存在します。
背景が異なる人がお互いを誤解したり、争うことなく円滑にコミュニケーションをとるための世界共通のルールが『プロトコール』です。
プロトコールを理解する上で大切なことは「相手に敬意と親愛を伝え平等に扱うこと」です。
国際基準の儀礼とはいえ、時代とともに変化する部分があります。国や地域によっても差がありますので、柔軟に対応することが必要でしょう。
ここでは「国際的VIPへのおもてなし」に求められるプロトコールについて具体的にご紹介します。
1. サービスの基本は「笑顔の挨拶」
人と人とが出会って、最初に交わすのが挨拶。
折り目正しい挨拶は相手に敬意を示す基本です。エレガントな女性と言われる方は常に柔らかな微笑みをたたえています。紳士(ジェントルマン)も相手に優しさをもって接することができる人、という意味があります。
笑顔の挨拶は国際的VIPへのおもてなしに欠かせない振る舞いと言えるでしょう。
2. 相手の立場に立った対応
相手の立場を配慮した誠意ある対応は、異文化コミュニケーションの基本です。
違いがある、ということを認識した上できちんと相手の話を聞くこと、自分の意見を述べる場合には押し付けることなくわかりやすく伝えることが大切です。
また、日本人特有のあいまいな返事をすることは相手に不信感を与えてしまう場合があります。YesとNoの使い方に注意をしましょう。
3. 身だしなみや立ち振る舞い
どんな方にも好感を持たれるような、控えめで清潔感あふれる身だしなみが求められます。
身なりを整えることは相手に対する敬意です。特に国際的な場では、状況に合わせた装いが求められます。
行事やパーティによって服装にも一定の基準があることはプロトコールのマナーの一つの特徴といえます。
4. 「国際人」的な視野を身につける
言葉の壁や国内の常識にばかりにとらわれていると、何が正解かがわからなくなってしまい、相手に対して消極的になってしまいます。
相手を理解しようという視野に立ち、わからないことは教わる、興味を示すといった素直な態度で積極的にコミュニケーションをとろうとする姿勢が大切です。
5. 敬称には細心の注意を
国によっていろいろな敬称があります。
例えば、英国人には「サー」「マダム」、フランス人には「ムッシュー」「マダム」「マドモアゼル」、スペイン人には「セニョール」「セニョリータ」などです。
国で使われている個々の敬称を用いて呼びかけるように心がけましょう。
敬称(けいしょう)とは
話者が相手や第三者に対して敬意、尊敬の念を込めて用いられる名前(人名)や肩書きの後ろに付ける接尾語、またはその語自体で相手や第三者を表現する代名詞である。後者の場合は、職名などで、一つの名詞としての機能を持っていて、独立して用いられる。
6. お客様の名前で呼びかける
欧米人は親しさの表現として、会話の端々に相手の名前を入れて呼びかけます。
例えば、単に「おはようございます」と言うよりは、「おはようございます。ミスター・ジョンソン」と言ったほうが、親しみが感じられます。
海外から来られた方にとって、自分の名前を覚えてくれているということは、安心と信頼に繋がります。
ただし、ビジネスの場面では役職名の表現が変わることがありますので注意しましょう。
7. 差別をしない
海外から来られた方と接する際に最も不愉快にさせることの一つが、応対上の差別です。
国籍や人種、年齢、性別、肌の色などによって態度を変えるようなことはあってはなりません。
まとめ
私が通っていた国際マナー(プロトコール)を教えるスイスのフィニッシングスクールでは、常に身の回りを整えることを求められました。
起床したあとにベッドはきちんと整えられているか、洗面台に不要なものを出しっぱなしにしていないか…、寮母によってチェックされベッドカバーが数センチそろっていなかったことや洗面台にヘアスプレーを出しておいたことなど、何度もやり直しを求められたこともありました。
「生活の乱れは精神の乱れ」と厳しく指導されたことが今でも思い出されます。
私はこうしたプロトコールをしっかりと身に付けることで、世界中の国々の仲間と会話をし、各国のグループが催すパーティに参加し、その国の民族衣装を身に着けて伝統舞踊を一緒に踊ることなどで楽しく異国文化に触れ、国際交流を深めることができました。
プロトコールの概念をふまえた「国際的VIPのおもてなし」では固定観念や先入観を持たずに相手を理解しよう、受け入れようという気持ちが大切です。
『素直さは最大の宝』という言葉を胸に、経験と知識を積み重ねていくことでマナーは洗練されていきます。
来たるグローバルな時代にふさわしいワンランク上の「国際的VIPへのおもてなし」に皆様もぜひ挑戦ください。