面接対策・マナー指導の専門家が解説!小学校受験・幼稚園受験 面接の心構え
小学校受験・幼稚園受験の時期が少しずつ近づいて参りました。受験を迎えるにあたって、準備に費やす時間はご家族様ごとに異なることと思います。お子様の習い事や幼児教室を含めると数年単位で準備をしているというご家族様もいらっしゃると推察いたします。
しかし『面接対策』に限っていうと、受験の年になってから始めるという方がほとんどではないでしょうか。わたくしどもの運営する「面接対策教室」にも、毎年、年度が代わり新学期が明けた頃から受講者様がいらっしゃり始め、夏休みの間にお申し込みはピークに達します。
この記事では、面接にあたってお母様・お父様の心構えについてポイントを解説いたします。これから面接対策を始めようと考えられている方の参考になれば幸いです。
1.まずは入退室のマナーを抑えましょう
“面接対策”というと、兎に角「どのような質問が出るか/どのような答えを用意するか」ということが頭に浮かぶのではないかと思いますが、それらを考え出す前にまずは入退室のマナー・作法をマスターしてしまいましょう。
こういったマナー・作法は一朝一夕で身につけようとすると、「型」や順序を覚えること・そのとおりに行うことばかりに必死になり、本番で「間違ってはいけない」と緊張しすぎたり、動作がぎこちなくなったりしてしまうものです。
早い段階で正しい作法を学び、受験本番までに日常を通して何度も何度も繰り返し行い身体に染み込ませておきましょう。そうすることで、当日はより落ち着いて振る舞うことができ、面接での受け答えそのものに集中することができます。
ここでは入退室のマナーを簡単にご説明いたします。一連の流れで練習をしましょう。
【入室の仕方】
①扉を3回ノックします。
「どうぞ」といわれたら、「おはようございます」・「失礼致します」と挨拶ののちお辞儀をしてドアを開け、父親→子供→母親の順で入室しましょう。
入室したら、ドアの近くに3人並びます。
↓
②全員が入室したら、父親が「○○(子供の名前)と両親でございます。どうぞ宜しくお願いいたします」とあいさつ・お辞儀をします。続けて子供と母親が「よろしくお願いいたします」とあいさつ・お辞儀をします。
↓
③面接官から「どうぞ」と着席を勧められたら、全員で「失礼致します」と言ってから腰掛けます。
【退室の仕方】
①面接官の面接終了の言葉の後、椅子から立ち上がり「ありがとうございました」とあいさつ・お辞儀をします。
↓
②出口に父親→子供→母親の順で進み、ドアの前で面接官の方を向いて三人並び、父親が「本日はありがとうございました。失礼いたします。」とあいさつをします。続いて子供と母親が「ありがとうございました」とあいさつ・お辞儀をします。
↓
③父親→子供→母親の順で退室します。
2.必ず聞かれる質問に対する答え方
面接で具体的にどのような質問がされるのかは、インターネットで検索するとたくさんの事例がでてきます。学校別に実際にあった質問を列挙しているサイトなどもあります。
それらを見てもわかりますが、面接での質問というものは言い回しや切り口が変わっても、「何を知りたいか」という観点からいくと3つの種類に分けられるものです。
その3つとは
①お子様について 長所と短所/興味・関心事の傾向 など
②保護者について 教育方針/子供との関わり方 など
③学校・園に対する理解 理念を理解しているか/理念と志望理由が合っているかなど
です。
このパターンを意識し、どのような質問を投げかけられても、落ち着いて魅力的・効果的にご家庭の様子や志望理由が伝えられるように工夫し、練習をしていきましょう。
では「ご家庭の教育方針」についての質問を例に、具体的な答え方のポイントをご紹介します。
<例1>
面接官「お休みの日は、お子様とどう過ごされますか?」
やってしまいがちな答え方「近くの公園に行き、遊具で遊びます。」
この質問では、普段の生活の中でご両親がどのようにお子様と関わっているか、子育てに対する姿勢や考え方などを見極めたいのです。「〇〇しています」といった事実のみを述べるのではなく、「こういう理由があって、〇〇をしています」というように、ご家庭の教育に関する考えを盛り込みましょう。
回答例「休みの日は、外に出て体をめいっぱい動かす機会を持たせるようにしたいので、近くの公園に行き、遊具で遊びます。心身の健康の基礎をつくる上でも大切なことだと考えております。」
<例2>
面接官「ご家庭の教育方針についてお聞かせください」
ご家庭の教育方針を伝える時に押さえておきたいポイントは、
1.家庭の教育についての考えが学校の考えと一 致していることを伝える
2.常日頃から行っていること、心がけていることを伝える
3.お子様の様子が分かるような具体的な内容を含める
です。
これらを押さえた答え方の例はこのようになります。
回答例「私どもは、娘に、周りの人やものを大切にすること、そして自立心を持たせることの2つを主な教育方針としております。
日頃から心のこもったあいさつをしたり、感謝の言葉を伝えることの大切さを話し聞かせ、家庭でもお互いがいたわりの言葉を伝え合うことを心がけて生活するようにしております。
また、ものを大切にする心を養うには何事も丁寧に行うことが必要と考え、娘が行う毎日の洗濯物をたたむお手伝いでは、 洗濯物一つ一つ、布の端と端を合わせて丁寧に畳むことを気をつけるようにと言い聞かせながら行っております。
自立心を持たせるという点につきましては、それに必要な経験と自信をつけさせたいと思っております。休みの日は家族で一緒に体を動かすことが多いのですが、最近は、鉄棒やなわとびができるようになりたいという本人の意欲を汲み、できるようになるまで取り組み頑張ることを尊重しております。
私どもが大切にしている、人への思いやりと努力する心を育てることを理念としている御校で、ぜひ娘も豊かな人間性と知性を磨き学ばせていただきたいと願い、御校への入学を志望しております。」
このように、質問された事項に対する答えに加えて、自分たちの考え、またそれを裏付けるような具体的なエピソードを交えて話せるように意識しましょう。
3.答えにくい質問にあたった時は
面接でどのような質問がされるのかはある程度想定ができる、と前章で述べましたが、時にはなんと答えるのが正解なのかと思わず迷ってしまう質問や、正直に答えにくいような質問がでることもあるものです。そのようなことも想定しておくとより安心して本番に臨むことができます。
具体的な例をいくつかご紹介いたします。
<例1>
面接官「どのような時にお子様を叱りますか?」
元の回答「公共のルールが守れない時に叱ります。」
お子様をどのような時に叱るか、という質問に答えることはつまり、現時点でのお子様の短所や未熟である点を申告するようなものです。ですので、ここでもただ「どのような時に叱るか」という事実のみを答えてしまうと、単なるネガティブ要素として面接官の印象に残ることになります。
素直に答えるとネガティブな印象になりがちな質問には、面接官が不安にならないように、下記のポイントを意識して答えましょう。
- 具体的な場面・理由を付け加える
- そのことを改善するために行っていることを併せて伝える
上記をふまえると同じ質問でもこのように答えることができます。
回答例 「電車に乗っている時などに、弟との会話に夢中になるあまり大きな声で話してしまっている時に叱ることがあります。いろいろな人がいる所では、みんなが気持ちよくいるために静かにしましょう、と伝えております。」
<例2>
面接官「公立の学校ではなく私立を志望されているのはなぜですか?」
元の回答「公立学校の教育体制に疑問を持っておりまして、一貫した建学の精神がある私立を志望いたしました。」
“公立の教育体制に疑問を持っている”といった直接的な表現では、批判的な保護者という印象を与えかねません。公立校の問題点をあげるよりも、私立がなぜ良いと考えているのかを具体的に伝えるようにしましょう。また数ある私立校の中でも、なぜその学校が良いと考えるのか、も併せて伝えましょう。
回答例「私立小学校には独自の教育理念があり、「目指す子供像」が明確です。学習指導・学校行事を含めた学校生活全般において、「目指す子供像」を実現するための揺るぎない教育体制が構築されており、その一貫性・継続性が大きな魅力だと考えています。」
前章の例同様、質問に対する答えのみで終えるのではなく具体的な理由やエピソードを交えること、そしてネガティブな内容になりがちな質問には、ポジティブな内容で返しましょう。
4.面接官に好印象を与える振る舞いとは
さて、ここまで入退室のマナーから具体的な質問への答え方のポイントを見てきました。小学校受験面接・幼稚園受験面接では、言わずもがな、面接官に良い印象を持っていただきたい、ご縁をいただきたいと思うあまり、話す内容にばかりフォーカスをしてしまうものですが、非言語情報にも気をつけたいものです。
面接官に、安心感や信頼感を感じていただけるように、正しい姿勢と笑顔を保つこと・アイコンタクトをきっちりとることを心がけましょう。
また話をする時は「笑声」で話せているかも意識しましょう。常にアイウエオの「イ」の形を意識して話すと柔らかい声が出せ、穏やかで優しい印象を与えます。
滑舌も大切です。日常では、口を大きく開かず話すことが当たり前になっている方が多くいらっしゃいますが、面接ではしっかりと口を開け閉めし、相手が聞き取りやすいかを配慮した話し方をしたいものです。
「この学校に子供を通わせたい」という想いをしっかり受け取っていただくためにも、面接官に敬いが伝わる振る舞いと話し方を心がけましょう。