聴覚に障がいをお持ちの方100人と、手話で会話して見えてきた8つの作法
客室乗務員として聴覚に障がいをお持ちのお客さまがご搭乗された際は、極力手話でご案内してきました。
手話が出来ない客室乗務員は筆談や口話でご案内しますが、皆さんとてもにこやかにご返事をくださり、旅行の出来事やお土産についてなどで盛り上がることもよくあります。
皆さんも街中で“手話”を使って楽しそうにお喋りされている光景を目にすることはありませんか。
あるいは、お一人でちょっと不安げに辺りを見回していらっしゃるご様子などはありませんか。
聴覚に障がいをお持ちの方は、一見しただけでは障がいに関しての判断が難しく、誤解されたり、困っている状態を伝えることが出来ず不安になっていたり、または危険な状態になっていることにご自身が気づいていない場合があります。
そこで、今回は私が実践してきた、聴覚に障がいをお持ちの方への気遣いや作法、マナーをお伝えします。
声をかけるのはおかしいと思われるかもしれませんが、目の前でお声がけすると、顔の表情で注意されているのか、助けてくれようとしているのか分かってもらえます。
日常生資中で、聴覚障がい者の方は特に“視覚”で情報を得ます。その為、辺りをよく見ています。
目の動きで気づいた際は、何を困っているのか、また手伝えることがないか、ひと言お声がけをしましょう。
例えば“飛行機の搭乗ゲートの変更”や“電車の遅延”など、アナウンスでの変更内容は対応が難しい部分です。アナウンスが伝わらず乗り遅れてしまうことなどがあります。
気がついたらすぐにお声かけすることで大事に至らずにすみます。
後ろから突然声をかけられたり、突然肩を叩かれたりするとドキッとします。
声をかける時は、前方から少し大きめに手を振りながら合図した後に話しかけると、より気づきやすく心の準備が整います。
相手を驚かせないマナーとして実践しましょう。
手話で「こんにちは」と、ひと言声をかけてみてください。
手話が少しだけ出来る方は「勉強中です」とか「少しだけです」と答えるだけでも、そのひと言が「何かあったら彼(または彼女)を頼ればよい」と心強い存在となります。
聴覚に障がいをお持ちの方とのコミュニケーションには、手話、口話(口の形で言葉を理解する)、筆談があります。
口話のときは意味を読み取れるように口元をはっきり見せて、ゆっくり大きく開けて伝えましょう。また、最近ではスマートフォン等の文字機能を活用した方法も有効です。
手話に限らず口話、筆談、スマートフォンを活用した筆談で、積極的にお声がけしましょう。
聴覚に障がいをお持ちの方は、誤解されたり、後回しにされたり、危険にさらされたり、と日常生活で不利益を被る場合があります。
「耳マーク」は、聞こえない人々の存在と立場を社会一般に認知してもらい、コミュニケーションの配慮などの理解を求めていくためのシンボルです。
他にも、聴覚障がい者が運転される車には、聴覚障害者標識として黄色と緑の“蝶のマーク”が表示されています。
全国の都道府県やNPO法人で手話が出来る人を対象にバッジを提供している「手話バッジ」というものがあります。
災害が起こった時や何か困った時など緊急時では、特に情報が得にくく不安になります。
バッジには、「手話ができます」という他に、手話ができなくとも「聴覚障害をお持ちの方とも遠慮なくコミュニケーションがとれますので、お気軽にお声がけください」といった意味もこめられており、手話を理解する人は手話バッジを自分の鞄やポーチなどの持ち物につけています。
客室乗務員もある程度の手話が出来る乗務員は、胸元に手話バッジをつけています。
見る機会もあるかと思いますので、緊急時は積極的に協力を呼びかけましょう。
聴覚に障がいをお持ちの方は、その他は健常者と変わりません。
自立して行動されていますので、過度な特別扱いは居心地が悪くなります。
必要な時に必要なだけのお手伝いをするのがお作法です。
いかがでしょうか。
聴覚に障がいをお持ちの方へ誰もが出来る気づき、心遣い、知識であり、すぐに実践できるおもてなしの作法です。
特別視することなく、多様性を尊重し、誰もが暮らしやすい社会へ心がけると自分も相手も豊かな気持ちになります。
おもてなしの心で、日本の豊かなホスピタリティー精神を広げていきましょう。
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