豊臣秀吉も受けたおもてなし、茶席の作法「7つの体験!」
ようこそ。
人をつなぐ、ひろげる、おもてなしエヴァンジェリストの直井です。
おもてなしと言えば、茶道が最初に頭に思い浮かぶ人も多いと思います。
おもてなしを知るには、茶道からということで、気軽に体験できる裏千家の点茶体験に行ってきました。
予約ができないので、体験開始時間より1時間早く現地に到着。
美味しいお菓子やお茶をいただいている自分の姿を想像すると、凛としてカッコいい、なんだかワンランク上の自分になれる気がします。
受付で、点茶体験を申し込みました!
「まだ席はあるそうです」
月に2回しか行なっていない点茶体験会で、その日、お点前をご一緒した方は、前回満席でできなかったので、また来たという方もいらっしゃいました。
大人気ですね。
その日、ご一緒する方が続々とあつまってきます。
これを、茶道では、待合と呼ぶそうです。
客が待っている中、茶室では何が行われているのでしょう。
粛々とお点前を点ててくれる方が、客を迎え入れる準備をしていました。
お茶を点てる方のお客様へのこころが、この瞬間から伝わってきます。
千利休は、茶道の心得、準備について「炭は湯の湧くように置き」と言ったそうです。
お茶を美味しくいただいてもらうために、的確に誠実に行いなさいということ。
今回は、茶室がオープンな空間なので、茶道具を待っている間もゆっくりと鑑賞することができました。
薄茶器、薄器、茶巾、茶筅、茶杓、水指、水次、柄杓、蓋置、建水、釜…。
高校生の頃に、少し裏千家を嗜んだことがあるのですが、先生から一つひとつの小道具に、こだわりがあるという話を聞いたことがあります。
客へのおもてなしの深い想いを垣間見ることができました。
履物を脱いで、茶室に入ります。
茶室を向いて入り、振り返ってから正座し、履物を揃えます。
この日は、「薫風自南来」という文字が書かれていました。
(南から吹いてくる爽やかな風が、全てのものの心を爽やかにしてくれる)
禅語だそうです。
茶道と禅宗は、深いかかわりを持っているそうで、鎌倉時代に禅宗が広まるとともに茶道も全国に広まったとのこと。
歴史で言えば、室町時代の華やかな東山文化のもと、茶の湯が成立し、安土・桃山時代に千利休が侘茶を完成。
現在の茶道の原形になっています。
誰もが知っている歴史上の人物、織田信長、豊臣秀吉も茶の湯を嗜んだそうです。
茶の湯は、戦国時代に心を癒す、心の拠り所であったのですね。
事実、後に豊臣秀吉に切腹を命ぜられる千利休に、豊臣秀吉は「茶の湯は、こころを豊かにする」と語ったそうです。
「花は、野にあるように」
茶道では、お花は、命や時の流れについて考えさせる役割を持っているそうです。
花入れに、自然のありのままの姿で美しく生けてありました。
いよいよ、お点前をいただきます。
お菓子が出され、亭主から「お菓子をどうぞ」という挨拶。
今回のお菓子は、母の日が近かったので、カーネーションを見立てた練り切り。
可愛らしく、思わず顔がほころんでしまいました。
受付で、懐紙をいただいていたので、懐紙の上にお菓子を置いて、次の方に菓子器を回します。
取ったお菓子は、すぐに食べてもいいそうです。
お茶をいただく前に食べ終えます。
あまりにも和菓子が可愛らしいので、食べるのがもったいないなぁと思いながら、お点前をしている方に「お菓子をちょうだいします」とお辞儀をしました。
そうそう、次の方にも「お先に」とご挨拶も忘れずに。
お菓子をいただくと、ふわっと上品な味が口の中に広がり、しあわせな気分になりました。
茶器を右手でとってすぐに左手を添えながら、畳のへり内、次の方との間に茶碗を置いて、「お先に」とご挨拶。
茶器を取って、自分の胸の前に両手で持ちます。
茶碗を2度時計回りに回して飲みました(茶碗の正面に口をつけない気遣い)。
ほろ苦さとほんのりと抹茶が香る芳醇な味わいです。
抹茶は、途中で茶碗を置くことなく、2、3度で飲みきります。
茶器に抹茶が残らないように、最後はスッと音をたて吸いました。
飲み終わった後のエチケット。
茶碗を畳において、飲み口を指先でさっと拭きます。
向こう側に回していた茶碗の正面は、出してくれた人側に向くように反時計周りに回しておきます。
右手で、畳のへり外に茶碗を置いて、ごちそうさま。
茶器はとても繊細で、荘厳です。
茶碗に、客へのおもてなしの心遣いが表れます。
亭主が、このひとときのために、一生懸命しつらえてくれた敬意を示し、茶碗を拝見させていただきます。
拝見するときは、畳の上に両手のひらをついて、眺めたら、茶碗を2度回して、相手側に正面が来るように置きます。
日本人の考え方を改めて感じ取ることができました。
それは、「和」について。
和とは、「やわらぐ、なごむ、あえる」こと。
私なりに解釈してみますと、
「やわらぎ(おだやかになる)とは、お茶を点ててくれる方の真心とともに、それを受ける客が最大限の敬意を払うことでお互いが相手を思うやさしいこころ」ではないでしょうか。
そして、「なごむ(ほっと癒される)のは、飾らないありのままのしつらえに心底くつろげるから。」
もちろん、茶菓子も一役買っているに違いありません。
最後に、あえる。
今回は、パリからの訪日外国人の方もいらっしゃいましたが、一服のひとときをご一緒する中で、言葉の壁はあれども、「この瞬間をお互いが歓迎のこころで通じ合えた」のではないかと感じました。
今回の茶道体験は、目の前の出来事に忙しく過ぎ去っていく日々に、人として、忘れてはいけないあたたかなこころに気づかされるような体験ができました。
茶道は、こころが潤うのです。
5月23日に「おもてなしをつなぐひろげる」ミートアップを行います。
2020年度のオリンピックに向けて、ますます熱くなる「おもてなし」
日本の美、おもてなしの知見を深め、ひとりひとりの技と心を磨き豊かな自分にをテーマとしたミートアップです。
セレクト和菓子と抹茶をいただきながら、おもてなしを通し、自分のキャリアに磨きをかける有意義な90分。
あなたを動かす一服の茶、準備してお待ちしております。
次回のイベントご案内まで、しばらくお待ちください。